小中学生にケータイを持たせなくていいの?後編

前編はこちら


後編では引き続き、ネットいじめについて書いていく

ネットいじめの大まかな構造

 ネットいじめに関してそこまで詳しくはないが、大まかに分類するとこうだ。
1.メールでのいじめ
2.ネット掲示板でのいじめ
この2種類がいじめのやり方として大半を占めていると思われる。
この2つがいじめとして機能する理由から始める。


ネットいじめの厄介なところは、いじめられている人物に、いじめている張本人がわからないことだ。
メールでのいじめでさえも、チェーンメールとして回ってくれば、最初の送り主のアドレスが消えていることは多々ある。
さらに、なりすましメールなどというものまで出てきている。
掲示板ならなおさら、書き込み者不明のテキストに、自分の名前と嫌がらせ発言がセットで書かれていることだろう。
いじめられる方としては、単純に殴り返すといったアクションを起こすことができない。
やられたら、やられっぱなし、学校でも徐々に居場所を失うというものである。


これが機能する最大の理由が、匿名性ということになる。
発言している人がわからないから、捕まえようがないということだ。
ただ、これには例外事項が存在することがある。
つまり、いじめている生徒間やその周囲では、誰が書き込んでいるのか広まっていることがある。
自白させれば案外出てくるということだが、そう易々とことが運ぶこともない。
「匿名で誰が書いているのかわからないから、犯人もわからない。」
書いている方の意識はこのようなものだ。
そして、この匿名性があることで、気軽な気持ちで、もしかすると罪の意識もないままに書いているかもしれない。
 この点を考えると、「ネット上やメールでのやりとりといった自体が誰がやっているのか可視化できないといった構造上の問題」と、「やっている方の罪の意識が希薄になりやすいといった使用上の倫理の問題」の2つが浮かび上がる。
そして、この「ネットの構造」が「意識の希薄化」に拍車をかけているように見える。

ネットいじめはなくせるか?

 この問題は、いじめが機能しなくなれば解決するといったところだ。
だが、先にも述べたように、ネット自体の構造と、扱う人の倫理に左右される。
そのため、いじめとして際限なく書き込んだり送ったりすることができる。


「ネットという構造」からこの問題に対応しようとすると、小中学生の持っている携帯電話をインターネットにアクセスできないようにし、メールもできないようにする。
つまり、携帯する電話にしてしまえばいい、という結論になる。
しかし、それでは情報社会に対応する人材が育たない。
そもそも、小中学生は、携帯電話での友人とのコミュニケーションを楽しみたいという欲求があるのであり、電話機能だけの持ち運び電話を受け入れられるかもわからない。(法律で縛れば可能だろうが)
携帯電話はコミュニケーションツールであり、ネット上のサービスも、人と人を介するサービスが多い。
ネットと携帯電話は切っても切れない状況なので、構造を変えることは不可能。


とすると、「罪の意識の希薄化」に対処する方が合理的に見える。
この部分は、ネチケットやネットリテラシーといったネット上の倫理感を小中学生から持たせることが主体になるのだが、前編でも述べた通りに、その体制がないに等しい。
ただ、現実の問題に置き換えてみると、いわゆる「ケンカするな」や「人の悪口を言うな」といったことと同じである。
それをただ、ネットという世界に置き換えて、必要なルールを付加すれば簡単に説明することはできると思う。
そして、これは学校でなくても家庭でもできることだ。

教育で情報分野の授業を強化してほしいが…

 現状では、期待できそうにない。


ただ、長期的に見ると、情報教育はするべきである。
何も知らずにネットの世界へ行くことは、交通ルールを知らずに街へ出ることと同じようなものだ。
ネットの世界では、「ネチケット」「著作権」「情報の良し悪しの判断」について倫理的行動を求められることが多い。
ネットというものを教えるのに、メディアリテラシーと、著作権と、ネット上の社会ルールを教える。
これらのルールは現実社会でも適応することができる。
匿名性が全くない現実社会での倫理を、情報教育と称して同時に教えるということもできるだろう。


だが、これだけ書いても現状では夢物語だ。
個人の流動化が進むこの社会では、倫理も個人に依るのだろうか、いやそんなことはないはずだ。
社会の規範は、その社会が安定して成熟するために必要なものだろう。
そう考えると、今のウェブの共通部分であるWWWというものができてまだ20年ほど。
ネットという存在自体がまだ、成熟するには至っていないという面もあるのかもしれない。
明確な答えは、この先に社会で出てくるだろうか。