中国の人の気持ち

 日夜騒がれている食品偽装。
冷凍ギョーザに始まる中国産食品の敬遠。
それ以前にも、残留農薬問題などもあった。
食べるものは安全でない、という感覚を一般庶民に植え付けた数々の事件。
もっとも、これは中国製、中国産を遠ざけるだけに過ぎなかっただろう。
なら、中国に住んでいる人たちはどう思っているのだろうか。
ずっと気になっている、中国に住むということを考えてみたい。


 「中国に住む人たちが危ない」
経済発展の著しい中国だが、中国と聞いていい話は出てこない。
中国産=粗悪品という図式も出来上がってしまっているだろう。
悪い話は、他のニュースサイトを調べればいくらでも出てくるだろう。
自分は、「野菜用洗剤」があるという記事を読んだ時点で、中国に住むことは命がけだと思っていた。
日常的に残留農薬に悩まされている消費者が中国にはいる。
そこに、今回の「毒入り粉ミルク」の話が出てきた。
偽装国家にもほどがあるだろう。
著作権絡みの話が出てくることはまだわかる。
新興国は、先進国のマネをしつつ工業レベルを上げていくことは、歴史が証明している。
だが、人が食べるものに毒を入れてまで、人を殺してまで儲けたいのか。


 「中国の人たちは大変だ」
 中国の中には、経済的だけでなく、心理的な格差もある。
中国では、外国へ行った留学生が帰ってきて定職に就きやすい環境が整っている。
だが、留学生は「欧米の自由」というものの影響も受ける。
現在の中国では、経済と思想のバランスがとれていない。
「欧米の自由」を知った人たちが、中国での自由経済と、閉鎖的な政治の板挟みになっているのではないか。
北京オリンピックでの海外メディアへの情報規制。
インターネットで海外の主要サイトにアクセスできないジャーナリストはどれだけうっぷんが溜まったことだろう。
それが日常の中国だ。


 さらに、世界の資源をめぐって中国は世界中で争奪戦を繰り広げている。
国内では、新疆ウイグル自治区、海外ではアフリカで血を流しつつ資源を獲得している。
アフリカへは自国民を派遣してまで開発を行っている。
危険な現場では死人も出るそうだ。
だが、人員は常に補充されるそうだ。
まるで戦争ではないか。
国民を犠牲にしてまで、経済成長を望むのか。


 これは国家の問題なのだろうか。
それとも、古くからの慣習なのだろうか。
文化大革命から急激に変化した中国社会。
経済成長の裏に、疲弊する中国国民の姿が垣間見える。