皐月ヨウ特別講義 レジュメ

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以下レジュメとなります。


皐月ヨウのクロスオーバー論 〜ネット×リアルの時代〜 
                制作・編集 皐月ヨウ

Twitterとリアルタイムウェブ』
TwitterFacebookでは、今何をしているか、何が起こっているかを簡単にいつでも発信できるようになっている。


・リアルタイムウェブとは?
情報がフロー状態(流れ続ける)=TwitterFacebook
情報がストックされる(蓄積される)=ブログ等

リアルタイムで誰でも情報を発信でき、かつ伝搬性に優れているため、従来のマスメディアよりも早く情報を流通させることができる。


Twitterの設計
TwitterFacebook共通してApache Cassandraというオープンソースの分散データベース管理システムによって構築されている。

Facebook/マーク・ザッカーバーグ氏が大学の学生名簿「フェイスブック」をWeb上に展開、学生同士の交流を図るために始めたもの。
Facebookは外からは見えずSNSサービスとしてクローズドな作りとなっている。学生名簿が設計の基礎となっているため個人のこれまでの経歴や趣味を書き込むスペースがいくつも存在し、現実での繋がりを重視しているため実名主義を取っている。
FacebookSNSだが、Twitterは必ずしもそうではない。


Twitter/ジャック・ドーシー氏のアイディア
「リアルタイム性が高く、どこにいても自分の状況を知人に知らせたり、逆に知人の状況を把握できるサービス」に対する需要に着目して設計されている。
外部から丸見えであるTwitterだが、個々にIDが割り当てられているため、ハンドルネームであったとしても中の人がいることは確認できる、半匿名性を持っている。


両者とも基本的に承認プロセスが簡略で、mixiのようにいちいちメッセージを送る必要がない。仮にこのような関係を「緩い繋がり」と現すことにする。


・緩い繋がりを生むものとは?
Twitterではフォローするのもされるのも自由、アンフォローも日常的に行われている。
相互フォロー≠相互承認。


「安心」と「信頼」
以前書いた信頼社会のTwitterより

安心
社会的不確実性が欠如した状態で、相手が自分の期待通りの行動を取ると期待すること

倫理やモラルにより形成された社会であり、他者の行動から大きくはみ出るものを排除する傾向にある。別の言い方をするならば、「恥」が基本概念となる。

小さい子が、「あの人みたいになってはいけません」と親に言われるような社会。
ある社会集団に属していることが前提となることが多い。(会社、地域、親戚など)

信頼
社会的不確実性が存在した状態で、相手が自分の期待通りの行動を取ると期待すること

 自らが相手を信頼することによって成り立っている。自らが働きかけた相手が信頼できるかが大きなファクターとなる。
たとえるなら、見ず知らずの人を相手にする面接官。
その人となりを話の中から掴み、信頼できるかどうかを判断する。

Twitterは信頼社会を基礎とした設計と言える。


『ネットとリアルがクロスオーバーする社会』
Twitterのリアルタイム性が私たちに及ぼしたもの
「〜なう」という言葉によってリアルタイムでのオフ会が形成されやすくなった
ここまで来ると、もはやオフ会とは言えない?

「なう」によってTwitterによって「半匿名」の中が具体性を帯びて出てきた。


・I’m at Café SOLARE リナックスカフェ
信頼社会というものは現在の日本ではまだ実現できているとは言えない。
「なう」という発言の効果を上げるためのツイッタラーが集まるような場所があれば、ある程度その敷居を低くすることができる。
代表例:リナックスカフェ 通称リナカフェ。


『次世代デバイスと身体性』
次世代のSNSTwitterなんてものはよくわからないが、文字媒体のみに限らず、映像、音声、感触なども盛り込まれた情報媒体になるかもしれない。
今以上に情報発信がしやすく、さまざまな場所、人からも情報を手に入れることができるのではないか。
そのような情報の送受信を誰にでもできるようにするためにはどうすればいいのか?


・今はどのような時代か
ネット回線はモバイルで100Mbpsを超える。10年後には1Gbps。
PCからスマートフォンタブレットへ。(iPhone Android等)
カメラもWebもディスプレイもワンセットになっている端末。
最近流行りはツルツルの板、タッチ操作の端末。


・可能性
原丈人が提唱しているPUCという概念に基づいたものが出てくるかもしれない。
「PUC」パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションに利用できる
パーベイシブ(使っていることを感じさせず)/ユビキタス(どこにでも偏在し)/コミュニケーションに利用できる機能

電脳コイル攻殻機動隊の世界をイメージするとわかりやすいかも?
Ex: AR エアタグ 眼鏡型ディスプレイ 身体的インターフェースetc…

リアルタイム性を帯びたウェブサービスは、デバイスの発展とともに、ネットとリアルをより繋げる、両者の存在を感じさせず使えるものとして当たり前になる、そんな未来への一翼を担っているのが現在のTwitterなのかもしれない。


【出典】
Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流』 洋泉社新書 津田大介
『安心社会から信頼社会へ-日本型システムの行方』中公新書 山岸俊男
『21世紀の国富論』 平凡社 原丈人
日経ビジネスオンライン
フェイスブックはバブルか、それともホンモノか?』海部美知
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110127/218175/